Column 「 知ること。 」


先日お会いした某有名美容室の人気美容師さんとの会話で出た言葉「知ること」。

 

まず、自分が「大切にしていること」を取り巻く環境に意識的になってみて、興味を持ち、疑問に感じた事を調べてみる。その結果、知ったことが「大切にしていること」を破壊するような、自らの倫理観を超えるほどの、加害性や加担性を自分自身が持っていたとしたら…

 

どうしますか?

 

この美容師さんは雑誌などでもおなじみの有名美容室で15年間も活躍してこられた方、先日、エジオトロトに興味を持たれ、お客様としてご来店されました。彼女は少し前から自分の仕事に疑問を持ちはじめたそうです。

 

疑問とは、

毎日のサロンワークで空気中に合成化学物質が浮遊しているのをリアルに感じ取り、自分も他のスタッフも体調を崩しやすく、手も荒れてボロボロだということ。

 

一流コスメメーカーが商品開発をする基となるある研究機関に出向いた時に説明を受けた美に関する素晴らしい研究結果。それがあるメーカーによって商品化された時には、有害性の高いケミカルまみれのシャンプー剤として発売された事を知ったこと。

 

 熱心に勉強してきたヘアケア理論が各メーカーの商品に合わせて都合良く違う解釈に変えられていくこと。

 

今のケミカルを駆使した美容技術を、もっと偽りのない本当の美、身体の内から湧き出るような美を追求することこそが必要なのでは?と社内で働きかけてみたが全く受け入れられないこと。それは、ビジネスにならないから…?

 

彼女は美容師を志した時から大切にしていた「美への思い」が、たとえ効果があまりなく一過性の対処療法だと分かっていても、たとえ有害性があっても、様々なケミカルをお客様に塗りまくるという「商売」になってしまったことが、彼女自身の倫理観を超え、自らの加害性や加担性を感じ取ってしまったようです。その結果、自分が心地よいと感じることができる新しい環境を求めて職を辞することに決めたのだそうです。

 

美容業界に対する疑問…とても共感しました。何かサポートさせて頂けることがあれば是非という思いです。

 

 

 

僕はベジタリアンになって数年になります。

 

きっかけはちょっとした理由から牛のと殺映像を見たことでした。その時の牛のおびえた表情は僕がとても大切にしていた愛犬のおびえた時の表情と同じでした。その映像を見ながら涙が溢れ出てきました。

 

そして、畜産のことを調べました。

 

知りました。

 

畜産がどれほど多くの動物達を虐待し、(殺す行為を言ってるのではありません。と殺に至るまでの動物に対する扱い方です。)世界全体の18%もの温室効果ガスを排出し、(車、汽車、船、飛行機などすべての交通手段から出る排気ガスをぜんぶ足しても13%です。)世界全体の水の2~3割を使い果たし、熱帯雨林を破壊し、陸海を汚染するなど畜産は地球を苦しめ、環境破壊に大きな大きな影響を与え、世界全体の穀物の約5割を飼料として消費することで飢餓問題の解決を困難にしていることを。

 

そして、肉食することでこの哀れな現状に自らが加担していたことを知りました。僕の倫理観を完全に超えてしまいました。

 

だから、ベジタリアンになりました。

 

身体が軽く健康的になったことはその副産物ぐらいにしか考えていません。ベジとしての生き方を選ぶことがとても心地よいのです。身近な人にベジタリアンをすすめることもしていません。たとえ家族にでも強要したことはありません。でも、この事実を多くの人に知ってもらいたいという気持ちはあります。現時点の日本ではそれを知ってどうするかは個人の問題です。

 

環境先進国のドイツでは既に肉食をあまり良い行動だとは思われなくなってきており、ベルリンを中心にベジタリアンになる人が非常に増えてきているそうです。

 

 あなたが「大切にしていること」は何ですか?

 

それを取り巻く環境への疑問...

 

その疑問の答えを「知ること」がナチュラルライフやエシカルファッションの入口に、原動力に、持続力に、なるような気がしています。

 

 

 

文 小笹久幸(Natural&Organic esiotrot)